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農業が始まったきっかけは?(10/03/14)
それは、気候の寒冷化が原因なのです。
最終氷期が終わり、徐々に温暖化していた地球に不思議な出来事が起こりました。
1万1千年ほど前、一時的に氷河期に逆戻りした地域があったのです。
それも100年程度という極端に短い時間で、です。
この寒冷な時期を「新ドリアス寒冷期」と呼びます。
原因は氷河の溶解でした。
北アメリカ大陸を覆っていた厚さ4000mもの巨大氷河が地球の温暖化に伴って、大量の水となり、北大西洋に流れこんだのです。
この冷たい淡水に表面を覆われた北大西洋には、熱帯地方の熱を北に運んできていた南からの海流が来なくなりました。
その結果、「寒の戻り」が生じたのです。
寒冷化した地域に住んでいた人々は深刻な食料危機に見舞われたはずです。
それまでの狩猟・採集が難しくなるからです。
この時代にはそれまでの温暖な気候に助けられ、人口も大幅に増加したことも、飢餓に拍車をかけました。
その危機を乗り越えるために考えられたのが、作物の栽培です。
あるムラの遺跡ではどの植物が栽培に適しているか、150種以上を試した形跡も見つかっています。
つまり、一時的な地球の寒冷化が農業を生んだのではないか、と考えられるのです。
【参考文献】
「地球のすべて」がわかる本 向山洋一(編者)、岩切洋一(著者) PHP研究所 発行